PART1 では、昨今の相続税対策の背景や、贈与税の課税制度には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあることをご説明いたしました。PART2 では、生前贈与のメリットとデメリット、また「暦年課税」制度と、「相続時精算課税」制度を有効に活用する実践方法をケーススタディとともにご解説いたします。
第20回 遺言を残すよりも「贈与」を上手に活用して土地の有効活用を!PART2
「暦年課税」と「相続時清算課税」を上手に活用することで、相続税対策と同時に、 土地をもっとも有効に活用することが可能です。
『相続』と『生前贈与』のメリットとデメリット
親から子への資産を承継する方法として、相続人が亡くなられて「相続」をするケースと、生前元気なうちに行う「生前贈与」を行うケースの2つの選択肢があります。双方にメリットとデメリットがありますが、まず最初に「相続」をするケースにおいてのメリットとデメリットを簡単に解説をします。
「相続」のメリットとして第一に挙げられるのが、一般的には「贈与」に比べると様々な控除が適用されますので税金が低い点です。資産税に詳しい専門の税理士と相談し、計画性を持った適切な対策を施すことで、かなりの節税効果も期待できます。逆にデメリットとしては、PART1でも書きましたが、高齢化社会が進む現在、「認知症」など高齢化社会特有の病気などを患った際、自由に資産を動かすことができず、被相続人が介護費用や資産の維持管理などに伴う費用など、金銭的に苦労するケースなどが挙げられます。
「生前贈与」のメリットは、被相続人が若いうちに資産を継承することができるため、ご自宅の購入や土地の有効活用など様々な行動を起こすことが可能となり将来性が高まります。また、相続人が生前にご自身の意思で資産を分けることができますので、将来に遺恨を残す可能性が少なく、相続人・被相続人それぞれの家庭が円満な生活を送ることが期待できますので、「生前贈与」を行うメリットは、非常に高いと思われます。デメリットとしては、贈与税は相続税と比較すると高いことが挙げられますが、「暦年課税」、「相続時精算課税」などの制度を上手に活用することで軽減することも可能です。
「暦年課税」制度は長期的視野。「相続時清算課税」は短期的視野にたった相続税対策の手法。
贈与の手法として「暦年課税」、「相続時精算課税」の2つの手法があることを解説いたしました。「暦年課税」制度は年間で110 万円までの贈与が非課税で行えるので、長期的視野にたった相続税対策の手法と言えます。相続が発生した際、「現金」は100%の評価で課税されますので、10 年間で1,100 万円もの現金を非課税で継承することができますので、とても有効な相続税対策といえます。ただし、相続開始前3年以内の贈与財産については相続財産として加算されます。
「相続時精算課税」制度は、比較的短期的な視野にたった相続税対策と言え、2,500 万円までの贈与が非課税で行うことができます。(2,500 万円を超えるものについては一律20%) 例えば、賃貸住宅の建物をこの「相続時精算課税」制度を活用して贈与を受けた場合、建物の名義が相続人の名前となり、相続人自らが各種契約事や賃貸収入を自由に使うことができるので、賃貸住宅の維持管理のために費用や、相続発生時の納税資金としての貯蓄。また被相続人が高齢社会特有の病気を患った際の介護費用などに充てることもできます。
また、相続評価額が「贈与」を受けた時点で決まりますので、将来的にも安心して生活を送ることができるのも魅力のひとつといえます。
「相続税」「贈与税」など資産に関する税金は、税務・会計分野とはまったく異なった分野。 資産分析に関する相談や実務は、資産税に詳しい税理士に委託することがベストな選択です!
「税理士」の肩書きを持っている方は、全ての税金についてオールマイティにこなすことができると思われがちですが、一般の税務・会計などを専門に行っている税務・会計事務所では、相続に関する業務は、年間で1 ~2件程度しか行っていないのが現実です。相続に関する業務は、専門の税理士による資産分析を基に、しっかりとしたプランニングと対策を施すことで、相続税額自体が大きく変わってきます。 住友不動産では、資産税に特化してコンサルティング及び実務を行っている、資産税専門のコンサルティング会社と顧問契約を結んでおり、大切な資産の有効活用のお手伝いをさせていただいております。