今回の特集では、資産税( 相続税など)のコンサルティングや実務に特化して取り組んでいる税理士法人タクトコンサルティングの太田美奈税理士( 住友不動産 顧問税理士) に取材を行い、最新の相続税対策の手法などをお聞きしてまいりました。「相続税対策」の手法のひとつとして、まず最初に考えられることは、所有されている土地にアパートやマンションなど事業用の収益物件を建て、土地の評価を下げ、更に融資を受けることで「相続税額」自体を下げていく方法が挙げられます。この手法は、相続税対策だけではなく、現在支払っている「固定資産税」等の軽減にもつながりますので、非常に有効な手法のひとつです。
「相続」の話をする際には、避けては通れないのが「人の死」の話です。近年、医学の発展とともに、日本人の平均寿命が延びてきており、大変喜ばしいことに、90 歳を超えられても非常に元気で過ごされている方が多くなってきました。
しかし、相続人が60 歳~ 70 歳のころに上記に挙げた「相続税対策」を行っていたとすると、相続税対策の効果が薄れてくるといった現象が、皮肉な話ですが重なってきます。所有されている土地にアパートやマンションを建てることで、土地の評価額を下げることはできました。しかし償却が終わりに近づくにつれローン残高も減り、代わって収入が増えることで「現金」※が増えていれば、相続税対策をしたはずであったにもかかわらず、相続発生時には、相続税額が上がってしまうケースがあります。※現金は100%の評価額で課税されます。