

2024年度
グッドデザイン賞受賞

自然と共に暮らす家
脱炭素社会の達成に向けて、住宅の断熱性・気密性を上げることはエネルギー消費を抑えるという観点に置いて重要な事項である。しかし、それを追い求めて外皮を強化した結果、住宅が自然環境と切り離された存在となってはいないだろうか。日本古来の家は風土に適応する形で自然に対して開き、共存していたが、その良さが失われつつあると感じている。そこで、様々な半外空間を内包し内外をつなぐことにより、太陽光や風などの自然を利用しながら共生し、快適かつ電気エネルギー負荷を抑えた住まいの実現を試みた。
また、現代日本人は均質で経年変化の無い人工素材を好むが、かつての日本の住まいは、木、土、石等の自然素材によって造られていた。使いこむことで味わいが増し、愛着が生まれ、住まい手の感受性を育む自然素材を内外装に用いることで、暮らしに真の豊かさをもたらすことができるのではないかと考えた。
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自然素材がもたらす
豊かさ

- SCENE1.
- 窓を開けて暮らせる家
2階の半外空間に面して吹抜空間を設けることで下階から上空への風の流れをつくり、湿度の高い日本においても窓を開けて心地良く過ごすことができる工夫をした。
半外空間に対して開いているので視線を気にせず窓を開放できる。
バルコニーテラスの上部に設けたルーバーは、日差しを適度に遮りつつ風の通り道となってくれる。

- SCENE2.
- 家族の成長と共に
味わいを増す自然素材
視覚や触覚で自然を感じられるよう、大谷石や大理石、天然木等の自然素材を内装・外装や家具に使用した。
それらと共に住まうことで自然に変化していく風合いを感じることができ、家の手入れをする中でより一層の愛着が生まれるだろう。
日々の暮らしを大切にすることが、真の豊かさにつながっている。

- SCENE3.
- 上下階を光と
風でつなげる
玄関から入って正面にエントランスガーデンと名付けた坪庭を設け、自然光を取り込み開放感を得る工夫をした。
エントランスガーデンの上部は吹抜となっており、2階の半外空間であるスカイテラスとつながることで、風と光の通り道となる。

- SCENE4.
- 自然を感じながら
住まう
内・外・内と異なる場を連続させることで、空間につながりと広がりが生まれる。
半外空間を内部に入れ込むことで、どこにいても自然を感じられる住まいとなっている。
