2023年度
グッドデザイン賞W受賞
J・URBANⅢ NISHIARAI
「間」で住まいを開く
住宅密集地では近隣住戸との間隔が充分に取れず、住まい手のプライバシーを守るために閉鎖的な住宅になりがちである。また、閉じた住宅では採光や通風が悪くなり、快適さの面で妥協せざるを得ない状況である。かつての日本の住まいには、縁側や土間のような内と外を取り持つ「間」が存在していた。失われた「間」を取り戻すことで、都市型住宅の問題を解決できると考えた。 街と人とを分断せず、互いの関係を緩やかにつなげることができれば、 広がりのある心地よい関係性が生まれるだろう。
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「間」=中間領域で
つながり方を操作 -
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- 01
- 家と街との「間」
吹抜に設けた大開口は、歩行者と住まい手の目線が交差しない設計。視線にさらされるストレスから解き放たれ、開放感ある空間となっている。
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- 02
- 内と外との「間」
メッシュスクリーンで曖昧に仕切り、中間領域を 創造。昼は外部からの視線を遮りつつ、風や光を 内部に呼び込む。内から外へは視線が抜ける。
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- 03
- 人と人との「間」
バルコニーを介して2つの世帯をゆるやかにつなげた。あえて中間領域を共有スペースとすることで、互いのプライバシーを守りつつ、自然な交流が生まれる。
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J・RESIDENCE AKASHI
住み継がれる家
各所に設けた「間」が内と外との境界を曖昧にし、空間を延長して広々と感じさせてくれる。一義的でない空間となることで生まれる豊かさは、日本特有の美である。
上質な住宅を提供することで、スクラップアンドビルドを繰り返すのではなくストック活用される住宅を普及させたいと考えた。
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日本のスタンダードとなる
住まい深い軒による美しい陰影と水平ラインがつくるシャープで洗練された外観。
天然木が年月と共に味わいを増していき、飽きることなく住み継がれる住まいとなる。 -
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- 01
- 内を外に延長
【内を延長するテラス】
建物の正面と海側にそれぞれテラスを設け、人と人とがふれ合いながら自然を享受できる縁側のような空間とした。床と同レベルで続くテラスは屋内の延長として使用でき、外気を感じながら過ごせる心地良い中間領域となっている。 -
- 02
- 空間を拡張
【LDK空間の延長】
単なる機能としての階段ではなく、吹抜を含めた空間づくりをしたことでLDKが階段室まで余すところなく延長され、広々と感じられる。 -
- 03
- 建物の角を開放
【深い軒の出による「間」】
建物の角を開放したことによって深い軒が生まれ、内と外との中間領域=「間」を造り出した。「間」が内外の境目をぼかし、風の流れや四季の移ろいを取り込む。一義的ではない空間となることで空間に余白と豊かさが生まれた。
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