近年、医療技術の発達と共に、日本人の平均寿命が伸び、厚生労働省の2009年発表によると、男性79・22歳、女性が86・05歳と、世界でも有数の長寿国になっています。これは大変喜ばしいことではありますが、一方で、「年金問題」や「高齢化社会特有の病気」など、高齢化社会が抱える様々な問題が顕在化しています。
第18回 ある日突然、元気だった親が「認知症」など高齢化社会特有の病気を患ったら…
日本は世界有数の長寿国!男性79歳 女性86歳 厚生労働省2009年発表
賃貸事業経営者が『認知症』など高齢化社会特有の病気を患った際、治療費用や介護費用。またご所有の賃貸住宅の維持管理に関する費用などの「支出」は待ったなしに訪れるという現実に、《危機管理意識》を持つことが大切です。
アパート・マンションなどの賃貸事業を営んでおられるオーナー様のご家族の方から、「オーナー様ご本人が「認知症」を患い、所有資産の管理・運営等の問題で困っている。」といった相談が、住友不動産に近年非常に多く寄せられるようになりました。
オーナー様ご自身が正常な判断ができない「認知症」を患ってしまわれた際に、一番問題となるのが、「おカネ」の問題です。
このような事態になってしまうと、法律に則り非常に手間のかかる手続きを行わなければ、たとえご家族といえども、賃料や経費を管理しているオーナー様名義の銀行口座にある「おカネ」を安易に動かすことはできないからです。
その一方で、病気の治療費や介護費用、賃貸物件の維持管理にかかわる費用など、必要な支出は待ったなしでご家族を襲います。
事前の準備如何で、オーナー様ご本人やご家族の生活設計が変わります。
土地活用(賃貸経営)を行っているオーナーの皆様は、「賃貸物件の収益で老後の生活基盤を安定したものにする」と同時に、「大切な資産を後世に円滑に継承する」ことを希望されております。
そのためには、健全な賃貸経営判断ができるオーナー様がいてこそ、賃貸物件は「優良資産」であり続けることができるといえますが、賃貸経営者不在のまま、後を継ぐ予定のご家族の方が賃貸物件に何も手出しが出来なければ、その物件は「不良資産」化するリスクが高まることは必至です。
今号で取り上げたテーマは、何も特別な話ではなく、どのご家庭で起きてもおかしくない身近な問題です。「高齢者の病気の問題」や、「相続の問題」は非常にデリケートな話題で、親側にとっても、また子供側にとっても非常に切り出しにくい話です。
しかし、ご家族全員の将来的な展望を視野に入れた場合は、避けては通れない問題でもあります。